りぷろぐ

せつな系創作団体「Repro」のBlogです!

「バケモノの子」感想ー“バケモノ”と“ニンゲン”(軽いネタバレ注意)

 お久しぶりです、綾町です。

 

 細田守作品「バケモノの子」鑑賞してきました!

 簡単なあらすじとしては以下の通り。(少しですがネタバレあるので、気になる人はブラウザバック推奨)

 

www.bakemono-no-ko.jp

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 母親が交通事故で亡くなり、父親は以前に離婚しており行方がしれず、という境遇で一人ぼっちとなってしまった少年「蓮」は街で「熊徹」という熊のバケモノに出会い、弟子にならないかと誘われます。その後、偶然にもバケモノの世界に迷い込んでしまった蓮は一人でも生きていける強さを得るために、熊徹の弟子となることを決意し、バケモノの世界での生活を始めます。

 8年後、成長した蓮はある日、偶然にも渋谷(人間の世界)に戻ってしまいます。ふらっと立ち寄った図書館で女子高生の楓と出会い、様々なことについて教えてもらううちに勉強に対して興味を持ち始めた蓮。楓はそんな蓮に大学への進学を勧めます。

 前向きに大学への進学を考え始めた蓮は父親と再会し、戻ってきて一緒に暮らそう、と誘われます。

 そんな中、蓮は熊徹を捨てて、人間の世界に戻るのか、それともバケモノの世界に居続けるのか葛藤して・・・というのが簡単なあらすじ。

本当に簡単なあらすじなので、具体的に知りたい人はwikipediaとか見れば、驚くぐらい詳しく載ってます(笑)

 

 

 

 

 感想としては、蓮と熊徹という異種だけど同質な存在が出会い、互いに影響を与え、成長していく部分にワクワクしたり、単純に異世界のものに出会って成長していく話としても面白かったです(多々良、百秋坊という二匹のバケモノと一緒に4人で各地の達人を訪ねるところは西遊記みたいだなとか思ったり・・・)。

 こういう異世界が中国っぽいデザインだったりするのは結構鉄板なのかなーとか考えたり(イノセンスとか最近見たので、まさに)・・・

 ずっと一緒にいたのに素直になれない熊徹の想いとずっと離れていたのに蓮のことを思い続けていて「一緒に住もう」と言う本当の父親の想いの対比とか泣かされる場面もいっぱいあって、全体的には個人的には良かったと思います。

 逆に細かい所では、高卒程度認定試験だとか、戸籍とか、リアリティ溢れる設定が急に出てきて少し冷めてしまう部分があったり(どうせファンタジーなら逆にそういう話は出さない方が違和感を覚えなかったと思います)、散々熊徹にそれをしてはいけないと言っていた人が・・・とか、そういう育て方でそうなっちゃうの? みたいなものとか正直、こじつけみたいな部分があって、戸惑いがありました。

 ストーリーのためにキャラクターが動いていると感じさせられるっていうのはこの監督の悪癖なのかなー。

 

 思うところは色々ありましたが、特に気になったのは「人間はバケモノの世界へ連れてきてはいけない」という設定。

 人間には闇があり、それがいつの間にか大きくなり、災いを引き起こす。だから、人間を連れてきてはいけない。

 この設定について、作中では正直、そこまで詳しい説明はないんですが、その割には結構大きなテーマというか主題です。

 人間は心の中に闇を持っていて、それは誰にでもあてはまる。けれど、その闇にのまれないようにいつもみんな闘っている。そして、その支えになるのが大事な人・周りの人、っていうのが監督が伝えたかったことなんじゃないかなーと思います。

 

 でも、じゃあ、逆にバケモノは闇にのまれないのー?というところが気になったり・・・

 作中の設定を見ますと、バケモノと人間の大きな違いは、神様になれるかなれないか、というところです。人間は神様にはなれない。バケモノはなることが出来る。

また、バケモノ達は動物の姿形をしています。

 

 人間は頭で様々なことを考えることが出来ます。けれども、それは逆に言えば考えすぎるということで、様々な悩みを持ってしまい、時にはそれが原因で立ち止まったり、誰かを傷つけてしまうことも。

 一方、動物はその様な悩みを持たずに、まさに「一生懸命」生きてます。

 そういう意味ではある意味、生物としては人間よりも動物たちの方が上である部分もあるのではないかなと感じたり。だから、動物(バケモノ)は闇を抱え込まないし、神様にだってなれる。

 監督はこんなこと考えてないとは思いますが、そんなことを鑑賞して考えさせられました。でも、だからこそ人間は面白いし、神には出来ないことができるんじゃないか、とも思いました。

 

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