ベスト・オブ・2015年by淡夏
どうも、淡夏です。
時間管理が下手過ぎて、久々の更新となってしまいました。
もっと計画的に作業が出来るようになりたい……。
さてさて、2015年も残すところ後五日を切ってしまいましたね。
そこで今回は、今年触れたもので、個人的に印象深かった作品を簡単に取り上げていきたいと思います。
・『Fate stay night〔Unlimited Blade Works〕』
型月信者としてこれは外せませんね。
9年ぶり(劇場版UBWからは5年ぶり)のアニメ化。
しかも、『劇場版 空の境界』、『Fate/Zero』を手掛けたufotableによる製作で、原作者、奈須きのこ完全監修と、ファンにとっては最大級のご褒美ぶり。
さらに、ただの再映像化ではなく奈須先生自らの新設定や追加エピソードの詰まった、生まれ変わったUBWということでもう……(言葉にならない歓喜の悲鳴)。
さて、観終わった結果として……。
本当に素晴らしい出来でした。
これ作画班何人犠牲になってんだよ! というぐらいに濃密な映像に、厨二心を刺激しまくるハイセンスな演出。
どれをとってもお腹いっぱいになるような内容でしたが、今回最大の見所は何といっても、今までの映像化では表現の難しかった、主人公“衛宮士郎”の真っ直ぐで歪な人間性。
奈須さん曰く「一生懸命、人間のふりをしているロボット」とされる彼ですが、今までの映像だとどうしてもただの“正義の味方を目指すなりふり構わない愚かな人間”に見えがちで、“ロボット”という部分を表現しきれていなかったように思えるんですよね。
本来、人の行動というのは何らかの感情や欲求を伴うもの。
例え辛いことであっても、その先に感情や欲求が満たされるから行動出来る。
けれど、士郎の持つ理想――誰もが笑っていられる世界を作るための、正義の味方になる――を実現するための行動は、決して彼自身の欲求を満たすものではない。
そも士郎の行動には、大災害で色んな人を見捨てて生き残ったのだから、何かを成し得なければならないという脅迫観念が根底にある。
そして、そこに上塗りされた“正義の味方”という理想は、士郎本人ではなく彼を救った切嗣が抱いていたものだ。
だからそこに、彼自身の感情や欲求はなく、ただ自動的に理想を叶えようとする“ロボット”。
それが、衛宮士郎という人間の在り方。
そこを、今回のUBWは映像で表現してくれた。
このことが、今までのアニメ版『Fate/stay night』と大きく違うところなんですよね。
あまり語り出すと自分でも収集がつかなくなるのでこの辺りにしておきますが、不満のある改変は少々あるものの、それでも原作『Fate/stay night』の持つ熱量を見事に再現してくれた作品であると言えるので、興味のある方は是非!!
なお、現在ufotableは劇場版『Fate/stay night〔Heaven’s Feel〕』も製作中です。
HFでは、UBWとは違った理想へのケリのつけ方が描かれているので、それをどう映像表現するのか、今から楽しみですね。
・『Fate/Grand Order』
また『Fate』かよ……。
はい、言わずと知れた、スマホ用ソーシャルゲーム版『Fate』です。
正直なところ、発表を聞いた時は上記のような気持ちがないわけではありませんでした。
ただ今回の『Fate』は、奈須さんが手がけたシナリオの中で最も規模の大きい“世界を救う物語”となっています。
今までの奈須さんの作品世界では、語弊を恐れず言えば、世界を救うなんてことは出来るはずがありませんでした。
世界とは詰まるところその人の認識している範囲のものであり、その中にあるものですら一人の人間には背負えるものではない。
ましてや、その外側にあるものを救う力など、身に余るものだ、と。
それを踏まえた上での、“世界を救う物語”を作ると聞いて、これが興奮せずにいられるでしょうか!
ただまあ、現在のところ、ひょんなことから“人類史の焼却”という危機に立ち向かうという王道RPGという印象が強いかなという所感。
そも“人類史”とは、それを支える“人理”とは、という話がより明確に見えてくれば、もっと型月らしさがアップするんじゃないかなと思うのですが。
そう言えば、鳴向さんのソシャゲ論とこの作品にずれがあるという話がありましたが、それは本当にその通りだと思います。
たぶん、FGOが目指したのはソシャゲ体験よりもJRPG路線なんでしょうし。
サーヴァントにしても、設定上の俺の“サーヴァント”という扱いはしにくいですしね(原作からして、ただの使い魔以上の存在で皆何者にも影響されないような個性をもっている人ばかりですし)。
何はともあれ、今後の展開に期待です。
課金も、しっかりします!
・『我もまたアルカディアにあり』
ハヤカワ文庫から出た、江波光則の小説。
終末に備えて作られたアルカディアマンションを舞台に、終わりゆく世界とそこで暮らすとある血筋の人達の生き様を描いたSF。
うまい感想が出てこないのですが、何というか、人間の生き汚さが描かれていたんだろうなと思います。
生き汚いとはいっても、人間という生物の根底にあるものだから、そう悪いものではないのでしょうね。
うーん、自分の語彙力では感想を伝えられなくてもどかしい。
気になった人は是非!
後、江波光則と言えばガガガ文庫から『ボーパルバニー』という小説も出てましたね。
こっちはひたすら悪いやつらが思うままに悪いことをして、思いきり死んでいくという、ある意味では気持ちの良い物語でした。
社会には受け入れられない衝動を抱えながら、それに忠実に生き切ったという点では、悪人である主人公達が酷く羨ましかったですね。
こちらもピカレスクロマン(とは少し違うかもしれませんが)系のお話が好きな方は是非。
・『心が叫びたがっているんだ』
今年観に行った映画の中では、これが一番心に響いたかもしれません。
感想については、過去の記事を参照のこと。
http://repro09.hatenablog.com/entry/2015/09/23/231144
本当はもっと色んな作品を紹介したいのですが、今日のところはこの辺りで。
物書きをしたいのなら、色んなことを経験する必要があると痛感する今日この頃。
現実では絶対に出来ない経験をさせてくれる作品が数多くあるのは、本当に幸福なことだと思います。
願わくば、自分の書いた作品もそうしたものの一つとして数えられればと祈りを込めて、結びとしたいと思います。
以上、淡夏でした。