『ジョジョ』と『暗殺教室』の漫画の作り方を比較してみた
ReproでふりゅうというPNで小説書いてます。以後よろしくお願いします。
最近立て続けに漫画家の漫画の作り方について本を読んだりテレビで見たりする機会がありました。
なので今回は2人の漫画家の漫画の作り方について、同じ所や違う所をまとめてみたいと思います。
両名の発言は以下をソースにしています。
・『SWITCHインタビュー 達人達』松井優征×佐藤オオキ
小説の批評じゃない?小説を書く上でも大いに参考になる部分が多かったので、まぁそう言わず。
さて、『ジョジョの奇妙な冒険』の作者である荒木飛呂彦氏は、漫画を作る上で最初に必要になるものとして、まずキャラクター、次いで状況設定を挙げています。キャラクターは細部まで設定を用意し、60近い項目からなる『身上調査書』を各キャラクターに設定し、特に行動の動機を明確にするように心がけているそうです。
状況設定は例えば「アメリカ西部を横断する」といったもので、普段書きとめているメモから着想を得ることが多いそうです。「○○というキャラクターは△△という状況に置いたらどうなるか?」を決め、後は起承転結さえ意識していれば自然とストーリーは出来上がるといったことを荒木氏は述べています。
一方で『暗殺教室』の作者である松井優征氏は、『暗殺教室』誕生のきっかけとして、最初はひらめきとしたうえで、「始業のチャイムで生徒たちが一斉に銃を向ける光景が面白いと思った」といったことを言っていました。光景さえ決まればキャラクターやストーリーなどは一晩で全て決まったそうです。「光景」は「設定」と言い換えられなくはないのですが、もっと1アイディア的な感じがします。
荒木氏の漫画を生み出す流れが
キャラクター→設定(メモより)→ストーリー なのに対し、松井氏は
光景(ひらめき)→キャラクター→ストーリー といった感じでしょうか。
『ジョジョ』も『暗殺教室』も大ヒットしている少年漫画ですが、
こうして比較してみると結構真逆な印象を受けます。
ただ、共通点もあります。
松井氏は生徒1人1人のスマホの種類まで事細かに設定していました。この辺りは「身上調査書」を作る荒木氏と似通っています。漫画の場合は絵なので、細かな設定を用意しておかないと小説以上にボロが目立つという側面はありますが、細かなキャラクターの設定は長く作品を続けていく上で必要不可欠なようです。当たり前と言われればそれまでなのですが、自分の小説では……できてないですね……。
あと、荒木氏は漫画のテーマは世の中の流行りに合わせたものではなく、あくまで自分の描きたいものであるべきだといったようなことを書いていますが、これは松井氏の漫画でも共通しているように思います。『ジョジョ』のテーマは「人間賛歌」だそうですが、『暗殺教室』のテーマは前作の『ネウロ』と同様「人間の可能性」といった感じでしょうか。
何より共通しているように感じたのは、読者に読んでもらうための構図、構成の工夫です。最初の1ページ、2ページでどれだけ読者の心を惹きつけるか。荒木氏の著書ではその辺りが細かく解説されていましたし、松井氏もインタビューで偶数ページに必ず引きとなるようなコマを入れると言っていました。小説は文字だけなのでなかなか難しい部分もあるのですが、「最初にダラダラと世界観を説明したら読者はついてこない」と書かれていた所は耳が痛いです。いくら自分が良いと思う小説でも最後まで読んでもらわなければ意味が無いわけで……。
以上、ダラダラと両名の漫画の作り方を比較してみました。
ちなみにこの2人、漫画家なのに2人で料理に挑戦するという謎コラボ企画をしていたり。
気になる人はJOJO's Kitchenで検索してみよう。